京都議定書の発効を機に、自然エネルギーの普及促進を!

 11月18日、ロシアの京都議定書の批准書が国連事務総長に寄託され、京都議定書は90日後の2005年2月16日に発効することになった。京都議定書の発効を心から歓迎する。

 京都議定書は、地球温暖化防止のための唯一の国際的枠組みであり、この削減目標を確実に達成することが地球温暖化防止の第一歩である。しかし、日本では、2003年度の温室効果ガス排出量は1990年比で8%も増加してしまった。経済産業省や環境省の検討では、現在の地球温暖化対策推進大綱の施策がすべて実施されても、温室効果ガスは削減どころか、2010年には5%ちかく増加してしまうと試算されている。

 温室効果ガスの削減対策は、省エネ対策とエネルギー転換しかない。地球温暖化を防止するためには、大量生産、大量消費、大量廃棄の社会経済システムを見直すとともに、長期的には脱化石燃料社会を構築しなければならない。そのためにはエネルギー源を化石燃料から自然エネルギーに転換するしかない。

 しかし、現在の「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法)」は、その極めて低い導入目標と、廃棄物発電を対象にしたことから、かえって自然エネルギー普及の障害になっている。

 私たちは、京都議定書の削減目標を確実に達成するために、以下の自然エネルギー普及施策が必要だと考える。

(1)見直しが進められている地球温暖化対策推進大綱のなかで自然エネルギー普及を積極的に位置づけ、具体的な自然エネルギーの普及のための施策を盛り込むこと。

(2)直ちに、RPS法を抜本的に改正して、自然エネルギーの導入目標を大幅に増加させるとともに、固定価格買取制度などの市民が投資しても損をしないシステムを導入すること。

(3)市民投資の自然エネルギー普及のための支援策を拡充すること。

 気温上昇幅を産業革命以前から2℃未満に抑えなければ、地球規模の回復不可能な環境破壊により人類の健全な生存が脅かされる可能性がある。近年、日本だけでなく、世界的に異常気象が頻発し、大きな被害をもたらしている。温暖化が進行すれば、ますますこうした異常気象とその被害が拡大することは明らかである。

 ドイツやデンマークでは、風力発電所の7~8割が市民の投資によるものである。自然エネルギーの未来を切り拓くのは市民であり、京都議定書の発効を機に、市民による自然エネルギー普及のための具体的施策が実施されるべきである。

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