京都議定書目標達成計画(案)に対する意見を提出しました!

 政府の「京都議定書目標達成計画(案)」に対する意見募集(パブリックコメント)を受けて自然エネルギー市民の会では、地球温暖化防止のためには自然エネルギーへのエネルギー転換が不可欠であり、そのために現在のRPS制度を改め「固定価格買取り制度」を導入すべきであるとする旨の意見を提出しました。

以下、全文を掲載します

京都議定書目標達成計画(案)に対する意見

2005年4月13日
自然エネルギー市民の会

総論的意見 

 地球温暖化対策は、突きつめれば省エネ対策とエネルギー転換しかなく、地球温暖化防止のためには将来的には大幅な温室効果ガスの削減が必要なことを考えれば、長期的な対策の中心は、化石燃料から再生可能エネルギーへのエネルギー源の転換が中心的な対策とならねばならない。

 今回の「京都議定書目標達成計画(案)」は、再生可能エネルギーの位置づけがあまりに弱く、また、再生可能エネルギーの普及に不可欠の固定価格買取制度への言及がない。風力発電などが急増しているドイツなどのEU諸国では、再生可能エネルギーの固定価格買取制度が導入されてから再生可能エネルギーの普及が急速に進んだことは公知の事実である。

 現在の「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(RPS法)は、その目標値の低さと廃棄物発電を対象としたことから、再生可能エネルギー普及の桎梏となっており、RPS法から固定価格買取制度への移行は再生可能エネルギーの普及に不可欠である。再生可能エネルギーによる発電電力量に対して「固定価格買取制度」を導入するべきであることを明記すべきである。

 更に、2010年、2020年、2030年、2050年といった中長期の再生可能エネルギー導入の数値目標をたてるべきである。少なくとも、こうした再生可能エネルギー導入の中長期の目標設定についての検討を始めることを明記すべきである。この検討に際しては、徹底した情報公開と市民参加が保障されるべきである。

P7

 第1章第2節1の「環境と経済の両立」において、「省エネ機器の開発・普及、エネルギー利用効率の改善、技術革新の一層の加速化」などをあげているが、エネルギー源の再生可能エネルギーへの転換についても記述すべきである。

P23―24

 第3章第2節1.(1)○1「エネルギー起源二酸化炭素」のなかで、「エネルギー供給部門における二酸化炭素排出原単位の改善を図るため、原子力発電の推進や新エネルギーの導入等を着実に進める」とされているが、原子力発電は、安全性、放射性廃棄物問題、コストなどから安易に地球温暖化対策とすべきではない。マラケシュアコードでも、「附属書〓国は、第3条第1項の削減義務の達成のために、原子力施設から生じる排出削減単位(ERUs)および認証排出削減量(CERs)を利用するのを差し控えなければならない」とされ、地球温暖化防止に原子力発電を利用することには否定的評価がなされていることを想起すべきである。

 また、新エネルギーだけでなく、既存の再生可能エネルギーである水力発電などの利用も推進することを明記すべきである。

P30

 第3章第2節1.(1)○1ア(d)の「新エネルギーの面的導入やエネルギー融通の促進」のなかで、市民が参加できる再生可能エネルギー事業についても、これを対策として位置づける記述を挿入すべきである。

 また、新エネルギーだけではなく、既存の水力発電の利用促進や、小水力、太陽熱利用についても記述すべきである。

P35―37

 第3章第2節1.(1)○1イ(e)の「エネルギー部門の省CO2化」の「原子力発電の着実な前進」は削除すべきである。また、「新エネルギー導入の促進」のなかに、既存の水力発電の利用促進や、小水力も位置づけるべきである。

 「電力分野の二酸化炭素排出原単位の低減」のなかの、「原子力設備利用率の向上」は削除すべきである。原子力設備利用率の向上は、定期点検期間の削減につながり、安全性と相反する。また、「RPS法の着実に施行」との記述を削除し、「RPS法を廃止し、再生可能エネルギー発電々力量の固定価格買取制度を導入する」ことを記述すべきである。

以上

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