声明「国際再生可能エネルギー機関(IRENA)への日本の加入を強く要求する」を発信しました

緊急声明文

「国際再生可能エネルギー機関(IRENA)」への日本の加入を強く要求する

 諸外国は、温暖化防止のためにCO2排出量削減の中期目標を明確にし、その具体的な方策として電力買取補償制度や高い目標値を設定したRPS法を制定して、再生可能エネルギーの普及速度を一段と加速させています。
 しかるに我国は、COP14/CMP4でもCO2排出量の削減の中期目標を表明しなかっただけでなく、未だに低い目標値を掲げたRPS法にこだわっており、その結果、再生可能エネルギーの普及速度が諸外国に比して大きく遅れていることが明白になってきました。
 そのような状況にもかかわらず、このたび、1月26日ボンで開催された「国際再生可能エネルギー機関(IRENA)」の設立会合には、オブザーバー参加しただけで加入への署名を見送りました。

 このことを、自然エネルギー普及促進を目指す当会としては座視できず、緊急の声明文を政府、関係諸官庁、報道機関に発信するとともにホームページにも掲載しました。

 声明文を多くの方々に周知いただき、「一日も早く加入に署名を」の声にしていただきますようお願い致します。

 

(声明)

「国際再生可能エネルギー機関(IRENA)」への日本の加入を強く要求する

自然エネルギー市民の会

 1月26日、「国際再生可能エネルギー機関(International Renewable Energy Agency:IRENA)」の設立会合が、世界中から120カ国以上の政府代表の参加のもとボンで開催された。参加国のうち予想を上回る75カ国が設立協定に署名し、設立準備委員会が発足した。署名国には、中心的に準備を進めてきたドイツ、デンマーク、スペインをはじめ、フランス、イタリア、セルビアなどの欧州諸国、韓国、パキスタン、アフガニスタン、アラブ首長国連邦、イラン、シリア、トルコなどのアジア諸国、チリ、ペルーなどの中南米諸国、エジプト、ナイジェリアなどのアフリカ諸国で、多数の途上国も含まれる。日本は7名の代表団を送りながら、会合にオブザーバー参加しただけで加入の署名を見送った。翌27日には、署名国が参加した設立準備委員会が開催され、本部所在地や初代事務局長、組織体制などを6月に決定し、IRENAを正式に発足させるスケジュール等が承認された。
 現在、国際社会は、地球温暖化防止、エネルギー安全保障、貧困の撲滅などの重要課題を抱えている。これらを克服する上で、世界規模での再生可能エネルギーの普及拡大が不可欠である。IRENAは、再生可能エネルギー普及を目指す加盟各国に対して、政策面での助言、技術等の移転、能力向上の支援等を行い、世界規模で普及を加速することを目指す。
 日本にとっても、再生可能エネルギー普及は、京都議定書の削減目標を達成し、さらなる温暖化対策を推進する上でも、エネルギー自給率を高める上でも、決定的に重要な課題である。また、高度な再生可能エネルギー関連技術をもつ日本は、関連産業を発展させ、新たな雇用を創出、拡大しつつ、普及促進に取り組み始める途上国など、他国への技術支援などを通じて国際貢献を果たすこともできる。にもかかわらず、IRENAに加入しなかったことはきわめて遺憾である。
 世論調査によれば、地球温暖化防止のために再生可能エネルギー普及を望む国民の比率は非常に高くなっている。また、太陽光発電など、日本には優れた技術をもつ再生可能エネルギー関連産業も多く、国民も関連業界もIRENAへの参加を歓迎することは明らかである。アメリカは現時点では署名しなかったが、オバマ政権は再生可能エネルギー重視政策を掲げていることから、いずれ参加する可能性が高い。加入が遅れれば遅れるほど、日本に与える損失は大きくなるだけである。
 私たち自然エネルギー市民の会は、日本政府に対して、速やかに設立準備委員会に加入するよう強く要求する。

                                

2009年1月28日

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