市民共同発電所全国フォーラム2004

報告:自然エネルギー市民の会運営委員 木村啓二

市民がお金を出し合って自然エネルギー発電所を建設する「市民共同発電所」運動が1990年代半ば以降、全国に広がりつつある。現在、市民共同発電所は全国に50以上あるが、その設置の取り組みはそれぞれの地域で個別に取り組まれてきた。
 そうした取り組みをつなげ、広げるために、交流と情報交換の場として「市民共同発電所全国フォーラム(以下、フォーラム)」が2002年から毎年開催されている。今年は、市民共同発電所関西連絡会議が主催し、気候ネットワークの「市民が進める温暖化防止2004」と共同、当会も後援して12月4日京都で開催された。
 フォーラムは、第1部:基調報告・研究報告、第2部:各地の事例報告、第3部:全体討論という3部構成で開かれた。

RPS法の変革と市民の役割

基調報告では、和田武氏(立命館大学)が「市民共同発電所運動が自然エネルギー社会を創る」と題して、世界的な見地から日本の自然エネルギー普及政策(RPS法)の批判と市民共同発電所の可能性について報告した。市民共同発電所は、多様な方式が生み出されてきているが、新たに出資者が経済的にもマイナスにならない地域共同発電方式・野洲モデルも紹介した。更に和田氏は、RPS法が自然エネルギーの普及を阻害している現状を変革するためにも、市民による自然エネルギー普及の取り組みが必要であると指摘した。
 研究報告では、清水玄太氏(気候ネットワーク)が市民共同発電所の現状について報告した。アンケート調査の結果をもとに、出資型、寄付型という各発電所の取り組みの特徴を把握するとともに、問題点として、売電価格がコストに見合わないことによる採算性の悪さが第一に挙げられ、そのことが資金提供者や事務局にとって大きな負担となっていることを報告した。

各地で果敢にチャレンジする市民共同発電所

各地の事例報告では、峰淳二氏(かごしま市民環境会議)、廣本悦子氏(NPO法人おかやまエネルギーの未来を考える会) 、清水順子氏(サークルおてんとさん)から市民からの寄付金による共同発電所の取り組み報告があった。特に、かごしま市民環境会議の取り組みは、省エネ診断を寄付の対価として提供するもので、新たな試みとして興味深い。
 次に、市民からの出資金を募り共同発電所をつくる方式として、中川修治氏(九州お日様基金)と鈴木亨氏(北海道グリーンファンド)による取り組みが報告された。北海道グリーンファンドは、市民風力発電事業に取り組んでおり、今年新たに石狩市に市民風車(1,650kW)を2基建設予定である。RPS法施行後初の市民風車で、売電価格が下がり、RPS証書分の販売先の確保などの課題が多い。
 最後に、自治体の取り組みについて、中島有二郎氏(京都府地球温暖化体策プロジェクト)と境公雄氏(福岡県大木町環境課)から報告が行われた。京都府は、市民共同発電所づくりを支援するためにアドバイザリー制度を作っている。ハードだけでなく準備段階からの市民参加を支援する制度として評価できる。大木町は、行政と住民が協働で共同発電所づくりを行っており興味深い取り組みであった。

地道な継続とフォーラムの全国展開へ

全体討論は、大林ミカ氏(環境エネルギー政策研究所)、和田武氏、藤永のぶよ氏(おおさか市民ネットワーク)をパネラーとして行われた。ここでは、国のエネルギー政策が自然エネルギーに消極的である中で、市民主体の地道な活動の継続と発展が、自然エネルギーの普及とエネルギー政策転換のために重要であることが確認された。さらに、今後のフォーラムの位置づけも焦点となった。フォーラムの役割として、データ収集やノウハウなどの情報共有、他団体との協力関係をつくりながら全国展開していくことを確認してフォーラムを終了した。

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